- 事故に備えて保険を検討したいけど、生保と自動車保険の違いが分からない
- 自動車保険に加入していれば生命保険はいらないと思うけどどうなの?
- 生保と自動車保険の違いや保障内容が異なることがわかる
- 自動車保険と併せて生保に加入した場合のメリットがわかる
こんにちは!ファイナンシャル・プランナーの菊地です。
プライベートや仕事で自動車を使う人は多いかと思いますが、交通事故が起きた場合の備えはしっかりできていますか?
それを防ぐための手段として、自動車保険や生命保険が挙げられますが、自動車保険についてはある程度分かっていても、生命保険についてはどのように備えになるのかわからない、という人も少なくはないかと思います。
そこで、本記事では金融機関で約10年間、保険の窓口販売を行なってきた筆者が、事故に備えるための生命保険について解説していきます。
この記事を読めば、
- 自動車保険と生命保険の違い
- もし事故が起きた場合に両方から保険金を受け取ることができるのか
- 交通事故に備えて、生命保険に付加しておきたい特約
などがわかります。
交通事故の際にも生命保険は適用される
被保険者(個人)が死亡した場合には、死亡保険金の支払い対象となります。また、被保険者が病気やケガをして入院をした場合に、入院給付金や手術給付金の支払い対象となります。
では交通事故の場合はどうなるのでしょうか?
交通事故で死亡した場合
例えば、死亡保険金1,000万円の契約をしていた場合には、1,000万円が保険金受取人に支払われます。
交通事故でケガをした場合
例えば、入院給付日額1万円の保険に加入していて、20日間入院した場合には、
入院給付日額1万円×20日間=20万円
が入院給付金として支払われます。
損害保険と生命保険の違い
交通事故に備えるための保険として生命保険も活用できることが分かりました。では損害保険(自動車保険は損害保険の一種)と生命保険はどのような違いがあるのでしょうか?
損害保険の特徴
実損払いとは、契約に定められた保険金額を上限として、実際の損害額が保険金として支払われる方式です。
損害保険の種類には、自動車保険の他にも火災保険、傷害保険などがあります。
例えば交通事故でケガをして入院代や手術代で50万円かかったとすると、保険金は実費である50万円が保険金として支払われます。
生命保険の特徴
定額払いとは、あらかじめ契約によって定められた一定の金額が保険金として支払われる方式です。
例えば入院給付日額1万円の生命保険に加入していて、30日間入院した場合には、「入院給付日額1万円×30日間=30万円」が入院給付金として支払われます。
自動車保険・生命保険両方の保険金は受け取れるか?
自動車事故によってケガ・死亡してしまった場合、自動車保険・生命保険の両方から保険金の支払いを受けることはできるのでしょうか?
ご自身が加害者の場合、被害者の場合に分けて解説していきます。
ご自身が加害者の場合
自動車事故でご自身が加害者となり(ご自身の過失割合を100と仮定)、ご自身もケガ・死亡してしまった場合について確認していきます。
- 自動車保険
- ご自身の自動車保険で人身傷害保険に加入している場合には、ご自身の過失の有無に関係なく、実際の損害額が保険金として支払われます。
- 生命保険
- ご自身の過失の有無に関係なく、死亡された場合には死亡保険金、ケガで入院治療が必要な場合には入院給付金など、契約内容に応じた保障を受けることができます。
ご自身が被害者の場合
自動車事故でご自身が被害者となり(ご自身の過失割合を0と仮定)、ご自身がケガ・死亡してしまった場合について確認していきます。
- 自動車保険
- 相手方の自動車保険から賠償金などの保険金が支払われます。相手方が自動車保険に加入していて、かつ対人賠償保険が含まれている場合には、ご自身の治療費や慰謝料などの実際の損失額が賠償金として支払いの対象となります。
- 生命保険
- 死亡された場合には死亡保険金、ケガで入院治療が必要な場合には入院給付金など、加入している生命保険の契約内容に応じた保障を受けることができます。
事故に備えるための自動車保険と生命保険の活用について
ここまで自動車保険と生命保険の特徴などについて解説してきましたが、ここからは事故に備えるためには両商品をどのように活用すると良いかについて解説していきます。
どちらかの商品で良いのか?
例えば、生命保険に加入すれば自動車事故に関係のない死亡やケガ、病気による入院や手術にも備えられるため、自動車保険よりもカバーできる範囲が広がります。
一方で、「生命保険に加入はしているものの、自動車事故のケガによる入院や手術への備えに不安がある」という人は、自動車保険の人身傷害保険を充実させることで、ケガでの備えを充実させることができます。
保障の手厚さと保険料の安さ、適切なバランスは?
自動車保険は、自動車事故に関連した損害を補償する保険であるため、補償の範囲は狭い分、保険料は比較的安いです。
一方、生命保険は、自動車事故以外の死亡・ケガに加え、病気による保障もする保険です。
そのため、保障の範囲は広い分、保険料は自動車保険の保険料(車両保険や対物賠償責任保険を除いた部分)に比べると高いです。
保険は必要最低限だけ加入することが大切です。必要な保障額(補償額)や家計の状況を考えながら、毎月保険料を無理なく支払うことができる必要最低限の組み合わせで加入しましょう。
備えの重複には要注意
例えば、「万が一の時に家族に2,000万円遺したい」と考えている場合。
生命保険の死亡保障がすでに2,000万円であるのに自動車保険の保障を手厚くしてしまうと、保障が重複するだけでなく、保険料の負担が増えることによって家計への影響も考えられます。
自動車保険と生命保険の保障内容をしっかり確認して重複を避けて加入することが大切です。
補償対象外になるケースもある
交通事故に備えて十分に保険に加入していたとしても、補償対象外になってしまう場合もあります。自動車保険で補償対象外になるケースは以下の通りです。
家族間の事故の場合
例えば、妻が同乗している自動車を夫が運転している時に、壁に激突して妻がケガをしたとします。この場合、家族間の事故とみなされ補償対象外となります。そのため、自己負担で治療費をカバーする必要があります。
自身に重大な過失がある場合
例えば、飲酒運転やスピード違反、飲酒運転といった過失が挙げられます。
重大な過失の場合には、大ケガにつながる恐れがあるだけでなく、法的な責任も問われる可能性があります。この場合も、自己負担で治療費をカバーする必要があります。
交通事故に備えて付加したい生命保険特約4選
特約とはオプションのことで、主契約に付加する保障です。
主契約が2,000万円の死亡保障に、特約で1,000万円の災害割増特約を付加した場合、被保険者が交通事故で亡くなった際には、合計3,000万円の死亡保険金が支払われます。
ここからは交通事故に備えて付加したい生命保険の4つの特約を見ていきましょう。
1.災害入院特約
入院日数に応じた入院給付金や手術給付金が支払われます。
2.災害割増特約
高度障害状態になった場合には、災害高度障害保険金が支払われる特約です。
3.傷害特約
一部後遺障害による給付金がある点が災害割増特約と異なる点です。
4.特定損傷特約
基本的には、不慮の事故が発生してから180日以内に治療した場合が対象となります。
まとめ:生命保険は事故の備えになる
今回は事故に備えるための生命保険について解説してきました。
事故はいつ発生するか誰にも分かりません。しかし発生した場合には多額のお金が必要になることは明らかです。
自動車を運転する人は、事故に対する備えは十分にできているのか一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか。