医療保険は大きく分けて、「掛け捨て」と言われ、保障期間のある「定期型」と、一生涯の保障がある「終身型」があります。
保険料や保障内容の特徴などそれぞれ違うことから、どちらが良いのか決めかねている方もいるでしょう。
「掛け捨ては保険料が安いけど、保障内容は大丈夫?」また「一生の医療保障は欲しいけど保険料が心配」といった、それぞれの悩みもあります。
自分に合った医療保険は掛け捨てか、終身か。どちらも保障内容をきちんと理解しながら検討できるように解説していきます。
WOWOWアナウンサーを経て、その後フリーに転身。NHKBS「週刊シティ情報」などを担当し、講演会・イベントでのMCなど多方面で活躍。
経済番組に出演したのをきっかけにFP資格を取得。
現在は中立なFPとして相談業務や執筆活動の他、ハウスメーカーや不動産会社にてセミナーやアドバイスも行っている。
定期型と終身型
保険には、定期型と終身型があります。
一般的に定期型は「掛け捨て」とも言われ、決まった期間内の保障があります。ただ、将来解約した場合も返戻金はなく、その分、保険料は割安になります。
一方、終身型と言われる保険は、一生涯の保障だけでなく貯蓄性がある保険とも言われています。貯蓄性の保険とは、掛け捨ての保険では行わなかった保険料を、貯蓄しながら運用していき、将来は満期保険金や解約返戻金として受け取ることができる保険です。
終身型でも2種類ある?!
貯蓄性がある商品は、将来に受け取る返戻金がありますので、他の保険商品より保険料が割高に設定されていますが、貯蓄性がない商品は保険料が貯蓄されず、「掛け捨て」となるので保険料は割安です。
終身型には貯蓄性がある商品だけでなく、貯蓄性がない「掛け捨て」の商品もあるので、定期型と混同してしまいそうですが、医療保険の終身型は貯蓄性がなくても保障が一生涯あるので、「終身」とみなされるわけです。
また生命保険(死亡保険)の終身型は保険料が割高なのに対して、医療保険の終身型は思ったほど保険料が高くないと思った方も多いのではないでしょうか。
それは医療保険では終身型=貯蓄型ではないことが理由です。
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では、医療保険の「定期型」と「終身型」にはどのような違いがあるのでしょうか?
続いて保障期間や保険料、保障内容などを比較していきましょう。
医療保険の定期型と終身型
まずは保障期間の違いから参ります。
保障期間
- 定期型
一定の期間は保障がありますが、保障期間を過ぎると自動で更新していくタイプと、契約時に設定した満了年齢までの期間を保障するタイプがあります。自動更新の場合は5年、10年ごとに更新となり、満了年齢は80歳〜90歳となるのが通常です。 - 終身型
保障が一生涯継続される保険ですので、生きている限り保障が続きます。
続いて、保険料の払い込み期間の違いを解説していきます。
保険料の払込期間
- 定期型
自動更新タイプは5年後、10年後といった更新期間の終了時までが払込期間となります。満了年齢設定タイプは定めた保障終了年齢までが払込期間です。 - 終身型
契約時に定めた期間(60歳、65歳など)までが払込期間となるタイプと、保険料が一生続く、払込期間も終身となるタイプがあります。
そして、保険料と保障内容の違いを一気に解説します!
保険料
- 定期型
自動更新タイプは、更新時の年齢に応じて保険料を見直すため、更新年齢が上がるほど割高になります。満了年齢設定タイプは契約時から設定した保障終了年齢まで、保険料は変わらず一定の金額となります。 - 終身型
契約時の保険料から変わらず一定の金額となります。
保障内容
- 定期型
入院給付金や入院一時金が主な保障内容です。また先進医療や手術給付金等も保障する保険もありますが、一般的にはシンプルな保障内容が多いです。 - 終身型
入院に関わる様々な給付金(先進医療給付金、放射線治療給付金等)だけでなく、通院への保障も充実しています。また三大疾病や七大疾病なども特約で付加ができますので、自分に合った保障がカスタマイズできるのも特徴です。
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それぞれの違いがわかったところで、医療保険の終身型・定期型それぞのメリットとデメリットが気になるところかと思います。詳しくみていきましょう!
医療保険の終身型のメリット・デメリット
メリット
一生涯の保障がある
そのときに医療保険に加入しようとしても、持病があるなどして入りづらく、受け入れてくれる保険があったとしても保険料が割高になります。医療保障が一生涯続くことで将来の自分への備えができますので安心です。
払込期間が設定できる
60歳や65歳、または生涯保険料を払い続けるのか、一括で支払うのか、この設定期間によって総額の支払い保険料は変わってきます。
保険料が一定である
契約時の保険料は一定金額となりますので、年齢に応じて上がってしまうという不安はありません。
デメリット
年齢によっては保険料が割高である
契約時の保険料から一生金額は変わらないのですが、生涯の保障を見越して保険料を設定していますので、契約時の年齢が若くても割高になることがあります。
保障内容の見直しができない
加入した当初は保障内容は充実していると思ったものの、医療の進歩や自分のニーズが変わることで保障内容が古くなってしまう可能性があり、フレキシブルに見直しができない可能性があります。
インフレへの懸念
保障内容の見直しができないので、もちろん各種給付金の見直しもできません。そのため契約時に十分であった入院給付金が、将来の物価上昇などのインフレでは不足と感じる可能性もでてきます。
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では、医療保険の終身型のメリット・デメリットを理解したところで、年代別の比較や、生活環境において終身型に向いている人を見ていきましょう。
終身型が向いているのはどんな人?
20代〜30代 向いていない
また、この年代は貯蓄が溜まっていない可能性も考えられますので、保険料の負担は少ない方が良いという点と、ライフプランの変化が大きい時期なので、保険の見直しがしづらいといった点では終身型は向いていません。
40代以上 向いている
定期型では更新時に病気が発症してしまうと加入できなくなりますので、保障が一生涯の終身型が向いているでしょう。
先進医療や多様な病気が不安な方
保障内容が充実している終身型は、特約などを組み合わせて自分が将来不安となる疾病に対してカバーすることができます。
生涯に渡って病気への不安を和らげたい方は終身型が向いているでしょう。
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続いて同様に、定期型のメリット・デメリット、向いている人の解説をみていきます。
医療保険の定期型のメリット・デメリット
メリット
若い時は保険料が割安
保障期間が限定的なことや保険料が年齢を基準に算出されているので、リスクが少ない若年層は保険料が割安です。医療の保障は欲しいが家計的に保険料への負担が厳しい方にはありがたい商品になります。
保障の見直しが出来る
子供が生まれたので保障を厚くしたい、子供が独立したので保障は最低限の商品で良いなど、ライフステージの変化に合わせて保障内容を見直すことで、無駄な出費を防ぎ効率よく保険に加入することができます。
デメリット
更新時に保険料が高くなる
更新型は契約時から数年毎に自動更新が設定されます。
一般的に年齢が上がれば保険料は高くなるため、契約時より年齢が上がる更新時には保険料も高くなります。
健康状態によって契約できない可能性も
更新時のタイミングで病気が発生してしまい、既往歴と判断されて自動契約ができない場合もあります。持病があっても引受型保険に加入できますが、保険料が高くなってしまいます。
加入には年齢の上限がある
更新型は、保障期間を一般的に80歳〜90歳を上限としている会社が多く、それ以上の年齢の保障ではありません。自動更新で継続しても高齢のため、一定期間で保障がなくなる可能性があるでしょう。
定期型が向いているのはどんな人?
20代〜30代 向いている
ライフステージの変化が大きい20代〜30代は、更新ごとに見直しができる定期型が適しているでしょう。終身型と比較して若いうちは割安な保険料ですので、家計の負担になりません。
40代以上 向いていない
病気へのリスクが高まる40代以上は、いつ発症するか分かりません。保障期間内は問題ありませんが、治療が長引いた場合は更新時のタイミングで契約できなくなるかもしれません。
貯蓄が少ないまた、生活費に余裕がない方
貯蓄が少なく日常使うお金に余裕がない方は、医療保険に入ることにより万が一病気になった場合の入院費用を補填することができます。
1入院にかかる費用は平均19.8万円程度※と言われていますので、今から緊急費用としてストックできない場合は、貯蓄が貯まるまでの期間、保険料が割安な定期型に加入すると良いでしょう。
※(公財)生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
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医療保険の掛け捨てと終身は将来リスクを考えて
医療の進歩によって、保障内容が年々変わりつつある医療保険ですが、「掛け捨て」と言われる定期型と、一生涯の保障がある終身型では保障期間や保険料が異なります。以下を目安に検討を進めると良いでしょう。
- 比較的若く、貯蓄の少ない人は掛け捨て(定期型)を
貯蓄も必要であったり保険以外にも出費がかさむ時であるため、医療保険の保険料は最低限に。医療も進化しており、新しい保険も出てくるので、健康であれば入り治すことも可能。 - 生涯の医療保障のベースを作っておきたい人は終身型
現在の自分と将来の自分の状況を見据えて、家計に無理のないようにどちらが良いのか検討していきましょう。