つみたてNISAや、iDeCo(個人型確定拠出年金)、企業型確定拠出年金(DC)などを利用して資産形成している方が増えてきていますが、これらの制度で非常に重要な役割を果たしているのが投資信託という金融商品です。
本記事では、投資信託が初めてという方に、ぜひとも押さえておいていただきたい投資信託の基本についてご説明します。
少額から幅広く投資でき、専門家に運用を任せられる投資信託の仕組み
投資信託は、
です。
例えば、1人の投資家が10万円で投資しようとする場合を考えてみましょう。
たくさんの種類の株式や債券などを購入することは難しいですが、1万人の投資家が、10万円ずつ出し合うことができれば、10億円というまとまったお金になりますので、様々な種類の資産に投資することが可能になります。
投資信託を購入するためには、投資信託を販売している金融機関(販売会社と呼ばれ、一般的には証券会社や銀行)に口座を開設する必要があります。
口座を開設し、購入する投資信託を選んだら、購入する代金を販売会社に支払います。
そのお金は購入する投資信託の財産として、信託銀行(受託者)によって保管、管理されることになります。
そして、投資信託に投資されたお金を使って実際に株式や債券などに投資をしていくのですが、どの銘柄を購入するか、いつ購入するかといった投資の判断は運用会社(委託者)が行うことになります。
ここまでの役割を図にすると、次のようになります。
つまり、投資信託という商品が販売され、運用、管理されていくためには3つの金融機関がそれぞれの役割を果たしているのです。
投資初心者に向いている投資信託の主な3つのメリット
個別の株式や債券といった金融商品を購入するのではなく、投資信託という形で購入することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、主なメリットとして以下の3つをご紹介します。
- 少ない金額から購入可能
- 国内や海外の株式や債券など様々な資産に手軽に分散投資可能
- 運用を専門家に任せることができる
少ない金額から購入可能
個別の株式や債券などの場合、最低金額は数万円から数十万円とある程度大きな金額が必要になりますが、投資信託であれば基本的に1万円から、積立投資の場合には毎月100円などの少額から投資を始めることが可能です。
国内や海外の株式や債券など様々な資産に手軽に分散投資可能
投資金額が大きくない場合は様々な資産に幅広く投資することは難しいですが、投資信託であれば投資家のお金を集めて一つの大きな資金として投資をしますので、国内や海外、そして株式や債券など様々な資産に分散して投資することが可能です。
分散投資については以下の記事でも解説しているので、詳しく知りたい方はご覧ください!
運用を専門家に任せることができる
ご自身で個別の株式や債券などに投資しようとする場合、具体的な銘柄を選ぶために調査・分析することになりますが、投資信託であればその運用目的や運用方針を確認すれば、具体的な投資についてはすべて専門家に任せることが可能です。
最低限押さえておきたい投資信託の主な4つのリスク
投資信託は、投資対象資産の値上がり益(キャピタルゲイン)や配当金など(インカムゲイン)によりリターンが期待できる一方で、様々なリスクもあります。
ここでは代表的なリスクとして、以下4つをご説明します。
- 価格変動リスク
- 信用(デフォルト)リスク
- 為替変動リスク
- 金利変動リスク
価格変動リスク
株式や債券といった投資対象資産の価格が変動することによって、投資信託の価格(基準価額と呼ばれます)も日々変動していくことになります。
信用(デフォルト)リスク
債券などを発行する国や企業などが、あらかじめ定められた条件通りに利息や償還金を支払わなくなってしまうリスクです。償還金とは、債券が満期日を迎えたときに受け取れるお金のことです。
為替変動リスク
投資対象資産が外国通貨建ての資産(外国株式や外国債券など)である場合、株価などの資産価格が変動していなくても、日本円との為替レートが変動することで投資信託の基準価額も変動します。一般的に円安になるとプラス、円高になるとマイナスの影響があります。
金利変動リスク
一般的に、金利が上昇すると債券価格は下がり、金利が下落すると債券価格は上がりますが、金利の変動により投資信託の価格(基準価額)も影響を受けることになります。
投資信託を選ぶ際にチェックしておくべき3つの資料と役立つ2つのウェブサイト
実際に投資信託を購入する際にはその投資信託の運用方針や運用目的、商品性などについてしっかりと理解しておくことが大切ですが、ホームページやパンフレットだけではなく、次のような資料で確認しておくようにしましょう。
投資信託説明書(目論見書)
投資信託説明書は目論見書とも呼ばれ、投資信託についての重要な情報を投資家に伝えるための書面です。購入する際に必ず渡される「交付目論見書」と、請求すると渡される「請求目論見書」の2種類があります。
ファンドの目的・特色、投資リスク、運用実績、手続・手数料などが記載されていますので、必ず目を通すようにしましょう。
運用報告書
投資信託の決算期ごと(一般的には1年に1回)に運用状況について報告するために作成されるのが運用報告書です。こちらも目論見書同様、投資家に必ず交付される交付運用報告書と、より詳しい情報が記載されている運用報告書(全体版)に分かれています。
月報/月次レポート
法律で作成することが定められている運用報告書とは別に、多くの運用会社が少し簡易的ではありますが、もう少しタイムリーに運用状況を報告するために発行しているレポートとして、月報や月次レポートと呼ばれるものがあります。
運用実績や資産内容、投資環境や今後の運用方針などが記載されていますので、チェックしておくとよいでしょう。
上記の資料は、具体的な投資信託が決まっている場合にチェックすべき資料ですが、その前の段階、投資信託の基本的な事項について調べたり、具体的な投資信託を選んでいく際にとても役立つウェブサイトを2つご紹介します。
1つ目は一般社団法人投資信託協会です。投資信託の仕組みなど、基本的な知識や情報が掲載されており、個別の商品に関する情報については「投信総合検索ライブラリー」で検索することが可能です。
もう1つは、金融情報サイトのモーニングスターです。日本国内で販売されている投資信託は6,000本近くあると言われていますが、様々な条件から絞り込んだ上で基本的な情報について確認することが可能です。
まとめ
投資信託を利用すれば、誰でも少額から幅広い資産に投資することが可能です。
人生100年時代においては長期的なライフプランに基づいて資産形成していくことが大切ですが、そのような意味で投資信託は欠かせないツールと言えます。
投資信託を上手に活用して、資産形成していただければと思います。
執筆:2022年3月