保険と共済の違いは?どちらがおすすめ?両者を徹底比較しました

こんにちは!ファイナンシャル・プランナーの菊地学です。

万が一のために何か備えておきたいと考えた場合、恐らく多くの人は「保険」を思い浮かべるかと思いますが、中には「共済」を思い浮かべる人もいるかと思います。

菊地 学

どちらも万が一の備えのための商品ですので、正解です。

ただし、両者の特徴や違いまで思い浮かべることができるかと聞かれたら、なかなか難しいという人が多いと思います。

そこで今回の記事では、金融機関で約10年間、保険の窓口販売を行なってきた筆者が、保険と共済について解説していきます。

金融商品の選択をする際には、まずどんな選択肢があるかを知っておくことは非常に大切なことです。

この記事を読めば、

  • 保険と共済の違い
  • 保険に加入した方が良い人
  • 共済に加入した方が良い人

などが分かります。

この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー
菊地 学(きくち まなぶ)

宮城県出身。慶應義塾大学商学部卒。ファイナンシャル・プランニング技能士1級。

新卒で大和証券へ入社後、みずほ銀行など5社へ転職し、FPコンサルティング部部長や社長室室長などを経て独立。

金融機関の執筆記事の監修や、不動産会社でのセミナー講師、金融機関向けの動画制作など実績多数。金融初心者からは「難しいテーマでもわかりやすく理解できる」と好評。

目次

保険(生命保険)と共済の特徴について

菊地 学

保険も共済も、万が一のことが起きた際に保障を受けられるために加入する商品であるという点では同じですが、それぞれ特徴が異なりますので確認していきましょう。

生命保険について

最初に保険の主な特徴は以下の通り。

  • 生命保険会社が販売する商品
  • 大勢の加入者があらかじめ公平に保険料を負担しあい、「もしも」の事態が現実に起きたときに保険金や給付金を受ける仕組み
  • 生命保険会社は国内に40社以上あり、会社が定める条件を満たせば、誰でも加入が可能

共済について

次に共済の主な特徴です。

  • 地域や職業などの共通点を持った加入者で構成された共済組織によって、運営されている保障制度
  • 組合員がお互いに掛け金を出し合い、誰かが困っていたら共済金が支払われる仕組み
  • 主な種類は「こくみん共済(全労災)」「都道府県民共済(県民共済)」「コープ共済連」「JA共済」など
  • 対象の組合員以外は加入できない(例:コープ共済に加入するためには、出資金を支払って、居住地域の生協の組合員になる必要がある)

保険と共済のメリット・デメリットについて

ここからは保険と共済のメリット・デメリットについて解説していきます。

保険のメリット

1. 万一の保障ができる

菊地 学

加入する保険の商品性等にもよりますが、万一のことがあった際に遺族の方に生活費を残すことができます。

2. 相続対策ができる

生命保険の死亡保険金は、相続の際に「500万円×法定相続人数」が非課税です。これにより相続対策につなげることができます。

例:保険金2,000万円、法定相続人2名の場合

2,000万円-(500万円×2名)=1,000万円

という計算になり、保険の相続財産は1,000万円という評価です。

3. 所得税・住民税を軽減できる

一定額までの所得税と住民税は生命保険料控除の対象となります。

保険のデメリット

1. 保険料が割高

保険は保障の他にも付帯サービス(例:セカンドオピニオンサービス、海外旅行やレンタカーの割引)がある商品もあるため、共済の掛け金と比べると保険料は割高です。

2. すぐに解約すると元本割れする可能性がある

貯蓄型の生命保険は、契約してから解約するまでの期間が短い場合、「解約返戻金<払い込んだ保険料」となり元本割れする可能性があります。

共済のメリット

1. 掛け金が比較的安い

共済は非営利団体によって運営されているため、掛け金が保険料に比べて比較的安いです。

2. 割戻金がある

毎年の決算時に余剰金が出た場合には、割戻金として組合員に還元されます。割戻金は毎年出るとは限りませんが、還元されれば負担軽減につながります。

3. 掛け金が一律

保障内容が同じ場合には、年齢や性別が異なっても掛け金は基本的に同じです。

共済は誰もが無理なく加入でき、平等に保障を受けられることが目的で、それに合わせて掛け金が設定されているからです。

4. パッケージ商品であるため商品性が一律であり迷わない

基本的に共済の商品性・保証内容はシンプルであるため、保険と比べて保障内容は分かりやすいです。

共済のデメリット

1. 保障金額が少ない

掛け金が安い分、保障金額も低い傾向にあります。

2. 貯蓄タイプが少ない

掛け捨てタイプの商品が多く、貯蓄タイプは少ないため、貯蓄目的にはあまり適していません

3. 高齢になるにつれ保障が低くなる

年齢に関係なく一律であった保障内容も、一定の年齢になると保障が低くなります。そのため高齢時にも同じ保障を受けたいと考えている方には適していません。

4. 住んでいる地域などによって、加入可能な共済が限られている

共済は組合員になれないと加入できませんが、誰でも組合員になれるわけではありません。住んでいる地域など条件が決まっている場合があります。

保険と共済どちらが向いている?

先述した保険と共済のメリット・デメリットから、保険が向いている人、共済が向いている人は以下の通り。

保険が向いている人

  • 一生涯の保障が欲しい人
  • 貯蓄性を持った商品が欲しい人
  • 相続税対策を考えたい人
  • 保障を手厚くしたいと考えている人

共済が向いている人

  • 最低限の保障だけを考えている人
  • 月々の支払いをできる限り抑えたい人

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30代の子育て世代は保険と共済どちらが向いている?

ではここからは具体例を交えて解説していきたいと思います。

菊地 学

30代の子育て世代(これから出産を控える人含む)が万一の場合に備えて保険と共済を検討するとします。

今回の家族設定は以下の通りです。

  • 夫:38歳(会社員)
  • 妻:35歳(専業主婦)
  • 子供:2歳
  • 現在の生活費:月々30万円
    ※生活費は子供が高校卒業までが、現在の生活費の70% とする

では夫に万一のことがあった際に、子供が高校を卒業するまでにいくら必要なのか計算してみましょう。

生活費

子供が高校卒業までの生活費の必要保障額(現在の生活費 × 亡くなられた後の生活費割合 × 期間)

30万円×70%×12か月×16年(子供が高校卒業までの期間)=4,032万円

教育費

子供の教育費は進路によって様々ですが、下表から学習費の総額のイメージをすることができます。

スクロールできます
教育機関学習費総額教育費給食費学校外活動費
公立幼稚園223,647円120,738円19,014円83,895円
私立幼稚園527,916円331,378円30,880円165,658円
公立小学校312,281円63,102円43,728円214,451円
私立小学校1,598,691円904,164円47,638円646,889円
公立中学校488,397円138,961円42,945円306,491円
私立中学校1,406,433円1,071,438円3,731円331,264円
公立高校457,380円280,487円 176,893円
私立高校969,911円719,015円 250,860円
出典:文部科学省「平成30年度 子供の学習費調査 1.学校種別の学習費」

例えば、公立の幼稚園に3年通園し、小学校から高校まで全て公立の場合の学費は、総額約543万円です。

遺族年金

夫が加入している公的年金から遺族年金を受け取ることができます。

  • 厚生年金の場合・・・遺族厚生年金(遺族基礎年金を含む)
  • 国民年金の場合・・・遺族基礎年金

遺族年金の受給額の目安は以下の通り。

参照:日本年金機構ホームページ「遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)」

たとえば、夫の平均標準報酬月額が30万円で、子どもが1人の場合には、遺族年金は年間およそ148万円受け取れます。

葬儀費用

「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」によると、葬儀にかかった合計費用は、全国平均で約111万円。

不足額の計算

概算ですが、子供が高校を卒業するまでには最低でも以下の金額が必要です。

4,032万円+543万円+111万円 -(148万円×16年)=2,318万円

子供が大学に行く場合はさらに費用がかかります。

保険と共済どちらがおすすめ?

さて、今回のケースでは保険と共済ではどちらに申し込んでおいた方が良いでしょうか?

まず共済なのですが、前述の通り、毎月の掛け金が保険より低い分、一般的に保障は低めです。今回のケースのように比較的若いうちに夫に万一があった場合には、死亡共済金では不足する可能性も考えられます。

一方、保険の場合、商品性にもよりますが、共済より万一の際の保障は手厚いと言えます。

菊地 学

そのため今回のケースのような30代の子育て世代では、保険を検討することをおすすめします。

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まとめ:共済と保険はあわせて検討することをおすすめ

今回の記事では保険と共済について比較しながらご紹介しました。

保険、共済にはそれぞれ異なる特徴があります。

どんな目的を優先するかで、どちらの商品に加入した方が良いのか変わってきます。

両方の商品の特性を踏まえた上で、ご自身に合っている商品に加入して、将来への不安を軽減しましょう。

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この記事を書いた人

菊地 学(きくち まなぶ)のアバター 菊地 学(きくち まなぶ) ファイナンシャル・プランナー、マネーエスコート代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

宮城県出身。慶應義塾大学商学部卒。ファイナンシャル・プランニング技能士1級。

新卒で大和証券へ入社後、みずほ銀行など5社へ転職し、FPコンサルティング部部長や社長室室長などを経て独立。マネーエスコート代表。

金融機関の執筆記事の監修や、不動産会社でのセミナー講師、金融機関向けの動画制作など実績多数。
20代〜40代の方向けに、情報サイト「マナブロ」も運営中。家計、生活、家電、アプリなど6ジャンルを掲載。金融初心者からは「難しいテーマでもわかりやすく理解できる」と好評。

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