こんにちは!ファイナンシャル・プランナーの菊地学です。
30代は、結婚や出産で家族が増えたりしてライフステージが変化する年代であるため、医療保険の加入を検討している人は少なくないと思います。
しかし、
- 保険の専門用語がたくさん出てきてよく分からない…
- 何を基準にして医療保険を選択すれば良いか分からない…
と思っている方も多いはず。
そこで今回の記事では、金融機関で約10年間保険の販売を行なっていた筆者が、30代の医療保険について解説していきます。
この記事を読むと、以下のようなことがわかります。
- 30代の医療保険の加入率や入院割合
- 医療保険に加入した方が良い人
- 医療保険を選択する際のポイント
医療保険を検討している人はもちろん、医療保険を検討していない人にも役立つ情報を記載しているので、30代の方はぜひ最後までご覧ください。
宮城県出身。慶應義塾大学商学部卒。ファイナンシャル・プランニング技能士1級。
新卒で大和証券へ入社後、みずほ銀行など5社へ転職し、FPコンサルティング部部長や社長室室長などを経て独立。
金融機関の執筆記事の監修や、不動産会社でのセミナー講師、金融機関向けの動画制作など実績多数。金融初心者からは「難しいテーマでもわかりやすく理解できる」と好評。
30代はどんな年代?
そもそも、30代はどういう年代なのでしょうか?
まず最初に、30代の健康に関するデータをご紹介していきたいと思います。
30代を境に「がん」に罹患する確率は高まる
こちらのグラフは、「国立がん研究センター」によるがんの年齢別罹患率に関する統計データです。
がんは年齢とともに罹患率が高まることが特徴です。
10代・20代は罹患する可能性は極めて低いですが、30代を境にグラフが上向きになります。
30代女性は、がんに罹患する確率が男性よりも約2.4倍、40代になると男性の約2.5倍も高いというデータもあります。
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30代のがん保険については、以下の記事でおすすめの保障などを解説しているので、気になる方はご覧ください!
医療保険の30代加入率は72.0%
生命保険文化センターによる2019年度(令和元年度)の「生活保障に関する調査」による全年代の医療保険の加入率推移は以下の通りです。
20代の医療保険の平均加入率は約48%ですが、30代の医療保険の平均加入率は約72%と一気に1.5倍位まで増えます。
これは30代になると色々なライフイベントを迎えることが多くなるため、万一病気になった時に備えて医療保険に加入する人が増えているものと思われます。
30代の入院割合はおよそ1割
生命保険文化センターによる2019年度(令和元年度)の「生活保障に関する調査」では、30代を含む全年代の過去5年間の入院経験の有無は以下の通りです。
30代の推計患者数および罹患率それぞれの総数のうち、およそ1割が入院の割合です。
高齢者ほど入院の割合は高いですが、30代でも入院する可能性は十分にあることが分かります。
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30代で医療保険の加入は必要?
ここからは30代の医療保険の加入について解説していきます。
入院時の1日あたりの自己負担額の平均は23,300円
生命保険文化センター「2019年(令和元年)生活保障に関する調査」によると、入院時の1日あたりの自己負担額は平均23,300円です。
*高額療養費制度を利用した場合は、利用後の金額
*治療費、食事代、差額ベッド代、家族のお見舞いの交通費、衣類、日用品費なども含む
入院は短期化の傾向にあるとは言え、それなりに大きな金額が必要になることが分かります。
30代で医療保険が必要な人
30代で医療保険が必要な人は以下の通りです。
- 想定外の医療費の支払いが発生した時に家計に影響がある方
- 貯蓄(預貯金)が少ない方
- 手厚い保障を受けたいと考えている方
先述した通り、入院時の1日あたりの自己負担額の平均は23,300円です。そのため、貯蓄が少なく、医療費の支払いをすると生活が厳しくなるような方は、特に医療保険は検討する必要があります。
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30代で医療保険に加入するメリット・デメリット
30代で医療保険に加入するメリット・デメリットについて確認していきます。
30代で医療保険に加入するデメリット
30代で医療保険に加入するデメリットは以下の3点です。
医療保険は万一の事態に備えるために保険料を払い込むので、病気やケガをしない限りは保障を受けられず、掛け捨てになってしまいます。
医療保険の特性上どうしようもありませんが、保険料を払うことで安心を買っていることは間違いありませんので、病気・ケガに備えるコストとして割り切って考える必要があります。
30代に限らず、医療保険に加入する際は「その時点で必要な保障を備えた商品」を選択するのが普通かと思います。
ただし、年齢を重ねていきライフスタイルが変化していくと、30代で加入した生命保険の保障内容が将来的に合わなくなる可能性があります。
例えば、30代の時には小さい子供がいて、年収も低いため医療保障を手厚くしたが、50代になると子供が社会人になり、年収も上がったため医療保険にそこまでお金をかけなくても良くなった場合などが考えられます。
30代で医療保険に加入するメリット
次に30代で医療保険に加入するメリットは以下の3点です。
40代以降に比べれば、30代は健康である場合が多く、保険の選択肢が多く加入しやすいです。保険の選択肢が多い分、自分にあった商品や保険料が安い商品が見つかる可能性も高いです。
保険料を支払う場合には、その金額が所得控除として差し引かれ、所得税・住民税の金額を下げることができます。
保険料控除は保険の種類によって、以下の3つに分類されます。
- 一般生命保険料控除
- 介護医療保険料控除
- 個人年金保険料控除
この中で、医療保険の保険料は「介護医療保険料控除」に該当します。
例えば2022年に医療保険に加入する場合の所得控除の金額は下表の通りです。
新制度(2012年(平成24年)1月1日以後に加入した場合)の所得控除額一覧
年間の払込保険料等 | 所得控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 払込保険料全額 |
20,000円超 40,000円以下 | (払込保険料 × 1/2)+ 10,000円 |
40,000円超 80,000円以下 | (払込保険料 × 1/4)+ 20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
なお、控除については以下の条件があります。
- 一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の3つの控除は各々で所得控除の上限が4万円
- 3つの控除全体での上限金額は12万円
先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度な医療技術で、これまで治療が難しかった病気の診断や治療ができます。
ただし全額自己負担で、かつ陽子線治療は約265万円、重粒子線治療は約319万円と高額な治療もあります。
治療法 | 平均費用 |
---|---|
陽子線治療 | 約265万円 |
重粒子線治療 | 約319万円 |
2021年度(令和3年度)実績報告(2020年7月1日~2021年6月30日)
先進医療の保障が付加されている医療保険に加入することで、先進医療に対する備えにもなります。
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30代の医療保険選びのポイント3選
30代の医療保険選びの際にチェックしておきたいポイントを3点解説します。
1. 手術給付金
支払対象となる手術を受けるたびに、何回手術を受けたとしても手術給付金は毎回支払われます。
また、手術給付金は全ての手術を保障しているわけではありません。給付対象となる手術と、給付対象外の手術があります。
医療保険に加入する際には、どんな病気やケガをした時に入院給付金がいくら出るのかを確認することが大切です。
2. 入院給付金のタイプ
「入院給付金」とは、医療保険の基本的な保障の一つで、医療保険の被保険者が病気やケガで入院した場合に受け取れる保険金のことです。入院に伴って発生する一時的な費用や、入院期間中の収入源をカバーすることを目的としています。
医療保険には入院給付金を「日額で受け取るタイプ」と「一時金で受け取るタイプ」があります。
日額で受け取るタイプ
一般的にはこちらのタイプが主流です。入院した日数に応じて、設定した日額給付金を受け取ることができます。
一時金で受け取るタイプ
こちらは入院すると入院日数に関係なく、一時金で受け取れるタイプです。一時金は保険契約の際に決めた基準給付額に応じて支払われます。
最近は全体的な入院日数が短期化してきていますので、加入を検討している医療保険はどちらのタイプかをチェックしてみて下さい。
3. 医療保険のタイプ
医療保険には「定期タイプ」と「終身タイプ」があります
定期タイプ
保険期間は5年などの一定期間で、満了時に更新することができます。終身タイプに比べて、加入当初の保険料は割安であることが特徴です。
ただし、更新後の保険料は更新時の年齢の保険料が適用されますので、長期で見ると一般的に高くなります。
終身タイプ
保障は一生涯続くタイプです。定期タイプと比較すると、加入当初の保険料は割高であることが特徴です。ただし更新がなく保険料は一生涯変わらないため、長期で見ると一般的に定期タイプより安くなります。(一部の特約を除く)
医療保険に加入する場合は将来まで見越す必要があるため、一定期間だけ医療保障を充実させたい等の理由がない場合には「終身タイプ」をおすすめします。
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まとめ:30代はポイントを抑えながら医療保険を検討するタイミング
今回は30代向けに医療保険について解説してきました。
30代になると色々なライフイベントを迎えることが多くなるため、万一病気になった時に備えて医療保険に加入するかどうか検討しても良いタイミングです。
ご自身の貯蓄や今後のライフプランも含めて、医療保険については一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか。