がん保険・がん特約の加入率は年々増加傾向にあり、特に女性に関しては2004年以降からがん保険の加入率が増え続けています。
また女性のがん検診率も高いことから、がんリスクに対して備える環境は整いつつあると思います。
しかし、まだ女性特有のがん商品や特約がどのような保障内容なのか知らない方もいるでしょう。
この記事では、女性のがん保険やがん特約の保障内容を理解しながら、自分にとって必要なのか、おすすめになるのかを検討できるように解説していきます。
WOWOWアナウンサーを経て、その後フリーに転身。NHKBS「週刊シティ情報」などを担当し、講演会・イベントでのMCなど多方面で活躍。
経済番組に出演したのをきっかけにFP資格を取得。
現在は中立なFPとして相談業務や執筆活動の他、ハウスメーカーや不動産会社にてセミナーやアドバイスも行っている。
女性向けがん保険の特徴は?
女性の方が女性向けがん保険ではなく通常のがん保険に加入したからと言って、保障内容に過不足があるようなことはほとんどありません。
ではなぜ女性向けのがん保険があるのでしょうか?
女性特有のがんには乳がん、子宮頸がん、卵巣がん等があります。通常のがん保険でも女性特有のがんへの保障はありますが、
特徴としては、
- 乳がんの手術後に受ける乳房再建治療の給付金
- 女性特有のがんと診断された際の給付金
などがあります。
また、給付金が支払われる乳房再建治療は、自分の組織を使用する方法と人工乳房を使用する方法があります。
この手術は高額なため、医療費の自己負担額も大きいことで知られていましたが、2020年の診療報酬改定において保険適用となりましたので、負担額は以前と比較して少なくなりました。
しかし、病院によって手術費用は異なってきますので、経済的な面のサポートがあれば、乳がんの手術前から再建治療への不安も和らげることができるかもしれません。
このように女性向けがん保険は、女性特有のがんに対応した手厚いサポートがあることで、罹患率が高い女性特有のがんへのリスクに備えることができます。
では続いて、がん保険の基本的な保障から見ていきましょう。
がん保険の基本的な保障一覧
がん保険の給付金は、いずれもがんと診断されてからの治療や手術、通院にかかる費用を補填してくれるものです。
一定期間のことを免責期間といい、商品によっても異なりますが一般的には90日間です。
そのため、1ヶ月半後にがんと診断された場合は保障対象期間ではありませんので、給付金が受け取れないことになります。
では、がん保険の給付金にはどのようなものがあるのでしょうか?
がん診断給付金
がん診断給付金はがんと診断された際に支払われる給付金ですので、どのような用途にも利用できる自由なお金になります。
がん治療が始まる前に受け取れることで、今後の治療費や手術費用、治療のため休職する場合は生活費に充てることができます。
また給付金の支払いが複数回に渡って受けとれる商品もありますので、1回目と2回目の期間や条件も確認しておく必要があるでしょう。
保障内容としては、上皮内新生物(上皮内がん)も範囲内であるかも重要です。
上皮内新生物(上皮内がん)とは、がん細胞が粘膜の上層部の上皮内に留まり、内部には浸潤していない状態のことを指します。
初期がんであるため、適切に治療をすることによって転移や再発の可能性は低いと言われていますが、この上皮内新生物は保障されないケースがありますので、きちんと確認をしておきましょう。
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がん入院給付金
日額の給付金は契約時に設定でき、5,000円、1万円などがあり、金額が上がれば保険料も上がっていきます。
また入院給付金には支払い限度日数が設けられ、一般的な60日型から長期入院に対応できる120日型まであります。
がん通院給付金
医療技術の進歩により、長期にかかる入院は少なくなっており、平成23年のがん治療の平均在院日数は22.4日※でしたが、令和2年のデータでは18.2日※と年々入院日数は減少しています。
しかし、がん治療は長期に渡って化学療法や放射線治療を行いますので、入院日数が減った代わりに通院日数が増加※しています。
上記のような状況から、最近では通院給付金が充実した商品も主流になりつつあります。
しかし、注意しなくてはいけないのが、給付条件や保障期間があることです。
通常は入退院後の一定の期間(120日間や180日間)内に通院日が発生すると通院給付金が受け取れますが、がん治療で通院のみの場合は支給されません。
ただ入院前も保障期間となる商品もありますので、確認しておくと良いでしょう。
※厚生労働省(病院報告:病院の平均在院日数)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/08/dl/03.pdf
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/dl/heikin.pdf
がん手術給付金
がんの治療を目的とした手術に対して、給付金が受け取れます。
倍率は入院給付金日額を基に給付倍率10倍、40倍として支払われます。給付倍率は手術の難易度や保険会社によっても異なります。
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女性向けがん保険の必要性
基本的な保障を見ていると、通常のがん保険でも保障内容が充実しているので、女性向けがん保険の加入は必要ではないのかと思われる方もいるでしょう。
では女性向けがん保険は本当に必要なのか、女性特有の病気や罹患率も確認していきましょう。
それぞれのがんの特徴
- 乳がん
乳房の乳腺組織に発生した悪性腫瘍が乳がんです。診断基準として胸のしこり、乳頭・乳輪部の湿疹やただれ、乳房皮膚のくぼみなどがあります。 - 子宮頸がん
子宮下部の管状の部分「子宮頸部」に生じるがんです。検診の普及により早期発見、早期治療ができるようになっています。 - 卵巣がん
子宮の両側に位置する卵巣に発生するがんです。初期の段階では発見しにくく、大きな腫瘍となってから見つかるケースがあります。
部位別のがん罹患率
女性の部位別の罹患率は、乳がんが約9万7,000人で1位となりました。ついで大腸がん、胃がん、肺がん、胃がん、子宮がん(子宮頸部・子宮体部)となりました。
年齢別のがん罹患率
また、年齢別で罹患率を見ると、乳がんや子宮がんは30代前半から他の部位のがんより罹患率が上がっています。
女性特有のがんリスクは若いうちから備える必要があることが分かります。
がん入院の費用
続いて、がん治療の入院にはどのくらいの費用がかかるのかみていきましょう
女性のがん罹患率1位の乳がんは1入院あたりおよそ57万円、子宮がんはおよそ35万円でした。1入院の平均ではありますが、乳がんはがんの部位別でも最も高い費用となります。
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女性向けがん保険のポイント
女性特有の保障が手厚い女性向けがん保険。
最後に、選び方のポイントを見ていきましょう。
加入に適している年齢は?
年齢別の罹患率データから分かる通り、乳がんや子宮がんは若いうちに発症するケースがあります。最近では婦人科系の検診を若い方も積極的に受けていますので、早期発見の可能性も高まっています。
しかし、発症してからではがん保険に加入することができませんので、罹患率ピークが40代後半だとすると、30代前半には加入しておくと安心でしょう。
診断給付金の金額は?
がん保険で最もチェックしなくてはいけない給付金が、がん診断給付金です。
これは治療前にまとまったお金がもらえることもあり、後の治療に安心して挑めるほか、様々な用途に使用できるため、どのくらいの金額が受け取れるのか気になるところです。また複数回受けとれる商品もありますので確認しておきましょう。
医療保険のがん特約VSがん保険の女性向けがん特約
最近の医療保険は、がんや様々な疾病に対応できる特約が用意されていますので、自分オリジナルの医療保険がカスタマイズできるようになっています。
一方がん保険では、がん治療に関連した給付金のみですので保障の範囲は狭くなってしまいますが、医療保険にがん特約を付加すると、多様な疾病に対応でき、保障の範囲は広くなります。
ただ、あれもこれもと付加していってしまうと、保険料がどんどん高くなってしまうので注意が必要です。
女性特有のがん必要な保障を考えよう
現在、医療保険に加入されている方で、がん特約を付けている場合、どこまで保障されるのかをチェックしましょう。
またこれから医療保険やがん保険への加入を検討されている方は、家計に無理のない範囲の保険料で、どこまで自分が保障してもらいたいのかを検討していきましょう。