障害年金を知ろう!受取の条件や支給額をわかりやすく解説

公的年金と聞くと、まず老後生活のための「老齢年金」や、死亡した場合の「遺族年金」が思い浮かぶと思いますが、実はそれだけではありません。

岡田 由美子

心身の障害により収入を得られず、生活費に困るといった事態にならないよう、「障害年金」というのもあります。

障害年金の内容を知っておくことで、働けない場合の準備として「民間の保険に加入した方がよいのか」判断しやすくなりますし、いざというときもスムーズに受け取ることができますので、この記事で詳しく解説します。

まずは障害年金の基礎について、かんたんにみていきましょう。

目次

障害年金とは?

障害年金は、病気やけがによって仕事や生活に支障が出るようになった場合に受け取れる年金です。

障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。

病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたとき(初診日)に国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金保険に加入していた場合は「障害厚生年金」が受け取れます。 

また、障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金が一時金として支給されます。

受け取れる障害年金の種類をまとめると、次の表のようになります。

「障害基礎年金」を受け取れる主な条件と支給額は? 

実際、障害年金を受け取るには、いくつかの条件が設けられています。

障害基礎年金を受け取るためには、

  • 初診日が国民年金の加入期間であること
  • 保険料の納付要件を満たしていること
  • 障害認定日または20際に達したときに障害等級表の1級または2級に該当していること

などが主な受給要件となります。

前述したとおり、「初診日」とは病気やけがで初めて医師または歯科医師の診療を受けたときをいいます。

また「障害認定日」は障害の状態を定める日をさし、初診日から1年6ヵ月を過ぎた日、または、1年6ヵ月以内に症状が固定した場合、その日をいいます。

該当する障害の状態は「障害等級表」で細かく決められています。

岡田 由美子

詳しくは、日本年金機構のウェブサイト内に掲載されていますが、障害等級の1級、2級はどのような状態なのか、ざっくり見てみましょう。

■障害等級1級

1級は、他人の介助を受けなければ、日常生活のほとんどのことができない障害状態です。

身のまわりのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方が1級に相当します。

■障害等級2級

2級は、必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害です。

例えば、家庭内で軽食をつくるなどの軽い活動はできても、それ以上重い活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家屋内に限られるような方が2級に相当します。

それでは、障害等級1級、2級の場合に受け取れる障害基礎年金の金額を見ていきましょう。なお年金額は毎年度見直されます。

「子の加算額」は、その方に生計を維持されている子がいるときに加算されます。

「子」とは18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子です。加算される金額は次の通りです。

  • 子が2人まで・・・1人につき223,800円
  • 子が3人目以上・・・1人につき74,600円

例えば、障害等級が2級で該当する子が1人の場合は、1,001,600円(777,800円+223,800円)が受け取れます。

「障害厚生年金」を受け取れる主な条件・支給額は? 

次に「障害厚生年金」です。

  • 初診日が厚生年金保険に加入期間であること
  • 保険料の納付要件を満たしていること
  • 障害等級表の1級から3級に該当していること

などが受け取るための主な受給要件となります。

障害基礎年金の受給は、1級障害と2級障害に該当した場合だけでしたが、障害厚生年金は3級障害に該当した場合も障害厚生年金が受け取れます。

3級障害は、労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態です。日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある方が3級に相当します。

また、初診日から5年以内に病気やけがが治り(症状が固定)、障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽い障害が残ったときは「障害手当金」が受け取れます。ただし障害手当金は一時金での支給となります。

岡田 由美子

それでは、障害厚生年金の金額について見てみましょう。

障害等級により、受け取れる障害厚生年金等の金額は次の通りです。

「報酬比例の年金額」は、給与(平均標準報酬月額)や年金の加入期間により、人によってそれぞれ異なります。

また「配偶者の加給年金額」は、本人に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算されます。金額は223,800円です。

障害年金はいつからもらえるのか?

障害年金は、発症してからすぐにもらえるわけではありません。

初診日から1年6ヵ月経過した「障害認定日」以降に請求を行い、3カ月程度の審査を経て、初めて支給が開始されます。

「障害認定日」は、障害の状態を定める日をさし、その障害の原因となった病気やけがについての初診日から1年6カ月を過ぎた日、または1年6カ月以内にその病気やけがが治った場合(症状が固定した場合)はその日をいいます。

請求後の審査等には時間がかかりますが、障害年金は、障害認定日の翌月分から受け取れます。

まとめ

健康で働けるに越したことはありません。

ただ、病気やケガで所定の障害状態になり、仕事ができずに生活に困るという可能性もあります。

就労が困難な場合でも、国には「障害年金」という制度があり、所定の年金額が受け取れるということを知っておくことで、少しは安心できるのではないでしょうか。

その上で、必要に応じて就業不能保険など、民間の保険商品の活用を検討するとよいでしょう。

(注)障害年金の受給には、年金保険料の納付要件や所得制限など各種規定があります。詳細につきましては日本年金機構の各年金事務所等でご確認ください。

執筆:2022年4月

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この記事を書いた人

岡田 由美子(おかだ ゆみこ)のアバター 岡田 由美子(おかだ ゆみこ) ファイナンシャル・プランナー、DCアドバイザー

中立公正な立場や視点で、執筆、セミナー講師、個別相談受けをしています。
わかりやすい説明、豊富な知識や経験を元にした内容が好評で、全国のお客さまから多数の指名をいただいています。

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